15 Novベリーダンスと写真撮影について

2010年に東京から千葉県の鴨川市に移住してからは様々なイベントに出演したり、主催をしましたが「ベリーダンスの写真撮影」、強いては「ライブパフォーマンス全般の写真撮影」について考えさせられる機会が多かったのでブログに書くことにしました。

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Photo by hirono

私は自分が主催するベリーダンスイベントでは写真撮影(および動画撮影)をスタッフのカメラマンに依頼して、他の一切の撮影をお断りしています。基本的にライブパフォーマンスは撮影禁止が常識ではありますが、それを知らない方も割と多いので、なぜ撮影が禁止なのかを説明したいと思います。

)レンズ越しでは本当の意味でライブパフォーマンスを楽しめない
ベリーダンスに限らず、すべてのライブパフォーマンスは目で楽しむ要素が多分にあります。直接目で見ているのと、レンズ越しで見るのとでは大きな違いがあります。レンズ越しで見る行為には「良い瞬間を収めよう」という意識がはたらくからです。なのでシャッターチャンスを狙っている間は踊りを100%楽しむことはできません。カメラ越しにこちらを見ている観客を見て、ダンサーは「写真に収めて記念にするのではなく、この瞬間を楽しんで心に残してほしいのに…」と残念な気持ちになります。観客にはぜひライブならではの生きた瞬間を楽しんでいただきたいと思います。

IMG_1528Photo by hirono

2)良いパフォーマンスの妨げとなる
ライブは生物(なまもの)なので集中力が大事です。そして瞬間瞬間の表現が意味をもちます。そんな中、一人や二人ならともかく、たくさんの人がこちらにカメラを向ければ嫌でも意識せざるを得ません。そして場合によっては踊りに影響します。観客が踊りを写真に収めたい気持ちはよく分かりますが、ダンサーの表現の妨げになり得ることを考慮して頂きたいと思います。「 スナップ写真なら1枚ぐらい良いじゃない」と思うかもしれませんが、1人にOKしてしまうと全ての人に許可をしないと不公平になってしまいます。また、1人がやっていれば、周りの人も「なんだ、撮影して良いんだ。私も撮っておこう」ということになり、いつの間にかたくさんの人が撮影しているという状況になり兼ねないので、全面禁止にしています。

IMGP9673_1000Photo by Akihiko Kitamura


3)他の観客の迷惑になる

写真を撮る行為が、純粋にライブを楽しみたいと思っている他のお客さんの迷惑になる場合があります。特に混み合った会場では、隣の人のちょっとした動きが視線に入り、踊りから意識が反れてしまうこともあります。どんなに控えめに撮ろうと思っても手を挙げてカメラや携帯を持ち上げるだけで、周りの人に影響することになりかねません。また、少しでも良い写真を撮ろうと思うとついつい体が動いてしまうものです。本人は悪気がなくても他の観客の目線や集中の邪魔になっていることもよくあります。動きだけでなく「音」も周りに影響を与えることなります。シャッター音もそうですが、携帯で撮る場合はメールや電話の受信音が鳴ってしまうことも考えられます。さらに思いがけずフラッシュが光ってしまったということもよくあります。そうなると当然、他の観客だけでなくパフォーマンス全体に影響を与えます。そのため、撮影禁止と共に携帯の電源自体をオフにして頂いています。

 ElliIntro1Photo by Akihiko Kitamura 

4)肖像権の侵害になる
日本には肖像権というものが存在し、他人から無断で写真を撮られたり無断で公表されたり利用されないように主張することができます。

<スナップ写真について>
今の時代誰もが携帯を持っていて、写真を撮ってfacebookやmixiなどのSNSに即アップすれば瞬時に世間の目に触れることになります。日々当たり前のように誰もがやっていますが、この「肖像権」という人権がないがしろにされることがよくあります。 本人にとっては「こんな面白いライブを見たよ!」と記念に残したい、あるいは友人にシェアしたいという、純粋な動機からの行為かもしれませんが、対象としているのが人間である場合、本人の許可なしで写真を撮ることや公表することは本来していはいけないのです。 人が撮った写真であまり自分の写りがよくないものが公開されて、「え~!これはやめてほしいな!」という経験は多くの人がもっていると思います。撮影した人にとっては「良く撮れた」と思う写真でも写っている本人は「絶対に嫌だ!」という場合も十分あり得るのです。
ベリーダンスの場合、肌の露出が多い衣装を着ているケースが多いので、余計に注意する必要があります。踊っている本人は純粋に芸術として表現していても、写真を撮る人が「いやらしい」感情を抱いていれば、そこの部分が強調された写真が撮られ、公開されてしまう場合もあります。その結果ダンサーの人権が無視されたり、写真を悪用されたりする可能性も十分あり得ます。人には誰に写真を撮られるか、そして自分が写っているどの写真が公開されるかを選ぶ権利があり、本人の許可がなくては撮影、公開はしてはいけないことをご理解していただきたいと思います。

<フォトグラファーによる写真について>
“フォトグラファー”の方に関しては、プロでもアマチュアでもそうですが、写真を撮ることが好きな方は常に良い「ネタ」を探しています。美しい衣装を着て、きれいにメイクして魅惑的に踊るベリーダンサーはかなり良い「ネタ」にされることが多いです。そう思っていただけるのは光栄である反面、ご理解していただきたいのは私たちは写真を撮ってもらうために踊っている訳ではないのです。パフォーマンスをしている時はパフォーマンスを楽しんでいただきたいのです。そして自分の記念、あるいは公開用にパフォーマンスの写真を残したい場合は、信頼できるフォトグラファーに事前に撮影を依頼します。なので、「良い写真を撮ってやれば相手も嬉しいだろう」と仮定しない方が無難です。尚且つ、前述したようにベリーダンスは露出が多い衣装で踊る場合が多いので、見知らぬ人、特に男性に写真を撮られることを不快に感じることも多々あります。そのため、フォトグラファーにとっては「良い“作品”を撮る」という行為はあくまでも自分の「エゴ」で、撮影対象となるダンサーにとっては迷惑であったり、心外である可能性があります。また、これはダンサーのエゴかもしれませんが、撮ってもらうなら当然ながら美しく、芸術的な意味でも良い写真を撮ってもらいたいものです。ただ、人によって何が美しく、何が良い写真なのかは価値観の違いがあります。 なので例え本人に許可をとった上での撮影だとしても、公開をする場合は必ず本人の許可をとるのがマナーです。ダンサーはフォトグラファーの作品の「ネタ」ではなく、意思や感情、権利をもった人間です。最低限のリスペクトをもって扱うべき対象であることをご理解していただきたいと思います。

 

以上のことから、私は自分が主催するイベントではオフィシャルなカメラマン以外の撮影を一切禁止しています。また、外部のイベントに関しては少しずつ、撮影のマナーが浸透していけば良いと願っています。

ライブ空間にいる全ての人が、より質の高い時間を気持ちよく過ごせるよう、ご理解、ご協力いただければ幸いです。

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後日追記:おかげさまで当ブログ記事は数多くの方に関心をもっていただき、アクセス数は2016年4月1日現在、10000を越えています。
ベリーダンスと写真撮影についてこれだけ関心をもっている人が多いと分かってとても嬉しいです。
ベリーダンスイベントのみならず、ライブパフォーマンスシーン全般で撮影マナーが浸透していくことを願います。

9 Responses to “ベリーダンスと写真撮影について”

  1. 増永哲男 says:

    そのとおりです。
    素晴らしいコメントです。
    ますます活躍されますように。

  2. elli says:

    増永哲男さま、コメントありがとうございます。
    共感して頂いて嬉しいです☆

  3. 久保田狐庵 says:

    FBのシェアから参りました。
    私自身プロとしてカメラマンをしており、なんどかベリーダンサーの方を撮らせて頂く機会を戴いております。
    その上で、パフォーマンス中の撮影は我々としても難しく、極力お客様とダンサーの方の邪魔をしないように考えておりますがいまだに正解が見つからずいつも悩んでおります。
    今後もカメラマンとダンサーの関係が良い物であるようにしたい物です。

  4. elli says:

    久保田狐庵さま、コメントありがとうございます。
    カメラマンの立場からするとイベントでの写真撮影はとても難しいものだと想像できます。
    良い写真を撮りたいという意識があれば夢中にもなり、お客さんの目線の邪魔にもなってしまうこともあると思います。
    この辺は主催側が何を求めていて、何を優先するかにもよりますよね。なので、その辺の事前のコミュニケーションが必要だと思います。
    私はライブの写真に関しては芸術的に優れているに越したことはないですが、お客さんの迷惑になるぐらいだったら固定位置からの撮影で良いと思っています。その代わり、カメラマンのためにベストスポットを確保します。
    今後ますますカメラマンとダンサーが信頼に基づいた、良いコラボレーションができると良いですね♪

  5. Yositaka Satou says:

    ベリーダンスを含め全ての場合に当てはまることですよね。撮る側,撮られる側意思の疎通があって初めて作品になるのですから。自己満足で撮影したものは出所によっては暴力でしかない。

  6. elli says:

    Satouさんの仰る通り、お互いの了承の上での撮影でなければいけませんね。
    自分の撮影行為が人を傷付けるかどうかを考えるのが当然のマナーとして浸透するのを願ってます。

  7. TwishJ says:

    ライブの雰囲気ということですね…なまもの… でもライブは、その踊り手の一番よいところもでるので、その瞬間を撮らなくても…紙に描きたいと思える人に出会いたいですね…できれば、シャッターをそっと押してみたい衝動にかられるような…

  8. 関口 隆 says:

    elli先生 
    ベリーダンスの写真を撮り始めてから5年程になり、いろいろな先生のハフラやショーで撮らさせて頂いています関口隆と申します。
    elli先生が「カメラマンとダンサーが信頼に基づいた、良いコラボレーションができると良いですね♪」とおっしゃるとおりだと思います。
    写真は写される方の肖像権の問題もありますがそれ以前のこととして、とてもデリケートなものだと思っています。特にベリーダンスは女性の肌が露出することもあり踊られる方にとってご自身の写真の撮られ方・取り扱いはとても気になるところだと思います。「フォトグラファー」は、そのデリケートな気持ちを理解して委ねてもらえるような信頼を得ることがとても大切だと思います。
    また観客の方に対してもその場の雰囲気を楽しみたいお気持ちも大切にしなければなりませんね。
    踊られる方がその技を磨きパフォーマンスに臨まれるのと同じくフォトグラファーも「暗い環境で速い動きを捉える」という難しい課題に立ち向かっています。elli先生がブログの写真の下にフォトグラファーのお名前を掲載されていらっしゃることは、elli先生がフォトグラファーの技量の結果である著作権について尊重なされている結果だと思っており、こうして生徒さんにもそのお考えをお伝えになっていらっしゃるのだと思っております。

  9. elli先生
    私も主にベリーダンスのレストランショーを、撮影しています。
    お客さんとして、予約を要れ、食事をオーダーしその場所から動くことなくテーブル越しにとっています。
    撮る対象は、レストランショーでデビューを飾る生徒さん達です。
    私自身35年程前にショーダンスをしていましたが、写真が全くないのです。
    生徒さんの中には、その一回が最初で最後になるひとも大半だと思います。
    そのほとんどがアマチュアのため、私が自ら公開することもほとんどなく、ダンサー自ら、webにのせてもらった写真だけが、公開されます。
    ベストポジションでなくても、テーブルや椅子が移りこんでも、こんな場所で踊ったと記念になればと。
    観ている人が優先で、撮影が添え物で良いと思います。
    それでも心に残る写真を、撮れる様にと、色々と試みています。
    ダンサーとカメラマンは敵ではなく、ショーの素晴らしさを伝えるために協力し合える関係でいたいものです。

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