19 Junインドへの旅 その30:Krishnaの家

6月19日、金曜日。

この日はAleemaさんがダラムサラを発つ日だったので記念に仲良しのMartinとのツーショットを撮った。
Martinがバス停まで送っていくというので安心してここでAleemaさんと別れた。
この凸凹コンビは大人だけど遊び心がある二人で、一緒にいて心地よかった。
ダラムサラはベストシーズンが4-6月と10月-12月。
他の時期は雨期でかなり雨が降るため、6月も後半に入るとどんどん旅人がここを去っていっていた。

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この日は元サドゥのKrishna(Kushiという洋服屋さんの店番)の家に夕飯に招かれていた。
時を遡って私が初めてKushiに行った時から、Krishnaは私に「一緒にご飯食べよう、うちにおいで」と誘っていた。
「いや、結婚してるし…」と言っても「じゃあ、旦那はどこだ?」なんて聞いてきたりしておかまないなしだ。
さすがに男性の家に一人でのこのこ行くのは躊躇われたので、いつもスルーしてきた。

でも先日、Krishnaが店番をする洋服屋KushiにSatomiちゃんを連れていったところ、
「Elliたちはいつまでここにいるの?」とKrishnaに聞かれた。
「22日にはここを出発するよ」と答えると、
「え!じゃもう残された日が少ないじゃない!早く言ってよ~。まだうちに来てもらってないんだから。僕が夕飯をご馳走するよ」
どうやって流そうかなと思っていると、
「大体、Elliは警戒しすぎなんだよ。僕が滞在してるゲストハウスは他にも女の子たちが滞在していていつも皆で一緒にご飯食べてるんだよ。
それによく近所の子供たちもやってくるし。二人きりになる時間なんてないんだからさ…」とちょっと傷ついてる感じ。
「分かった。ありがたいけれど、連れ(Satomiちゃん)がいるから相談するね」
その場で私は日本語で
「どう思う?行きたいと思う?この人の家に行って大丈夫かな?」
Satomiちゃんはインド在住歴があるので、彼女がどう思うかで判断しようと思った。するとあっさりと、
「大丈夫じゃない?」と彼女。
そこでお互いの予定が合ったのがこの日だった。

ちなみに、この日Kushiに寄ってみると、Krishnaはカウンターの横で寝ていた。
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私が店にくる日は大抵起きていたけれど、何人かの友人から「あの人、面白いよね。営業中に寝てるし」というのは聞いていた。
遂にその姿を目撃! いくら友人の店を手伝っているとは言え、これはさすがにインドらしいというか、Krishnaらしいというか…
笑えるので思わず写真を撮ってしまった。
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一方、私は昨日のライブの疲れもあってちょっと不調。
Krishna宅に行く前に充電切れしてカフェで寝てしまったところをSatomiちゃんに撮られた^^
これぞカルマ!?

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そんなこんなでいよいよKrishnaの家に向かうことに。
道順は聞いていたけれど、言ったことがないエリアだったのでちょっとした冒険。

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Bhagsuにあるプールの近くらしい。
ちなみにこのプールではインド人男性の観光客しか泳いでいない。
インドでは女性が公共の場で肌を見せるのは一般的にはあり得ない。
そして欧米系や他の地域からの観光客も一切見かけない。
こんな男臭いプールには誰も入りたくない、ということだろうか?
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迷いつつもようやくKrishnaが滞在するゲストハウスに到着した。
元SaduのKrishnaが一体どんな所に住んでいるのか、とちょっと覚悟はしていたけれど、思った以上に素敵で清潔感のある場所だった。
出迎えてくれたKrishna。
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「夕飯作るにはまだ時間が早いから、僕の部屋で話そう」とKrishna。
うむむ…やっぱり一人で来てたら思い切り二人きりになるじゃないか~!
でもSatomiちゃんと一緒だったからそれほど警戒せずにお邪魔した。
会話は思わぬ方向に行った。
SatomiちゃんがBangaloreという街でチベット人の旦那さんと「日本&チベット料理のレストラン」を始めたけど、経営が大変で…という話を聞いて、Krishnaが
「どんな風に大変なの?」と尋ねてきた。
Satomiちゃんが具体的に経営上の問題をKrishnaに話すと、Krishnaはかなり突っ込んだ質問をしてきた。
「スタッフは何人?彼らの役割分担は?どうやってスタッフを選んだの?旦那さんは何をしているの?君は手伝っているの?」
私がそれを通訳してSatomiちゃんが答えたら、またそれをKrishnaに通訳するという流れが続き、
「ふーん。大体分かった。まず問題はスタッフだね。君は彼らにナメられている。インドでは大体女性の立場は弱いからね。おまけに君は外国人で会話がままならないから余計だ」とKrishna。
「まずは使えないスタッフを何人か切る。そうすると残ったスタッフはビシッとするから。そしてスタッフはできれば女性の方が良いよ。男(インドではの意)は基本、使えない」

!!! 自分が店番やってる店で寝ているようなKrishnaのいきなりのビジネスコンサルタントのような話ぶりに唖然とした。
「Krishna、経営の経験があるの?」と私が尋ねると、
「もちろんだよ。いくつかの店を経営してる。Kushiだってそうだよ」
「えぇ~!だって“友人の店を手伝っている”って言ってたじゃん!その”友人”のドイツ人女性をKushiで私も見てるし!」
「ああ、実は本当の経営者は僕で彼女がスタッフなんだ」
「はぁ!?なんでそんな嘘ついてたの!?」
「もっと気軽にお客さんと触れ合いたいからさ(ニヤ)」
うむむ…。完全に騙されてた…。しかも経営者なのに普通営業時間中に寝るか~!?IMG_0488
「ほら、ちゃんと経営しているよ」
そう言ってKrishnaはファイルを取り出して、経営する上で必要なライセンス(許可証)などを見せてくれた。
彼はどうやらゴアに本屋さんも経営しているらしい。

それからも色々なビジネスのアドバイスや彼なりの経営哲学を語り、私の中のKrishnaのイメージが180度変わった。
その言葉がとても参考になるものだったので私も聞き入った。

「あのね、ビジネスを持つってことはね、あくまでも自分がビジネスを操らないとダメなの。ビジネスに振り回されてるようじゃ、本末転倒でしょ?
だから僕は好きな時に好きな時間だけ働く。大体店にいるのは一日2時間かな。その間だって、友達がお茶に誘ってくれば出掛けるよ。店には“近くにいるので買い物がしたい場合はここまで電話ください”って携帯番号を書いた紙を貼ってね。そして営業中に眠たくなれば寝ている。客は僕に用事があれば起こしてくれるからさ。大事なのはね、自分が自分の条件で仕事をできるようなシステムを初めから作り上げること。」

「そして僕は女性スタッフしか使わない。僕が経営している店のスタッフはみんな、家が貧しいとか親がいない孤児なんだよ。恵まれない境遇の彼女達に仕事を一から教え込んで、それなりの給料を払っているんだ。みんなすごくしっかり働いてくれるよ。これは僕なりの慈善事業でもあるし、人生を通じてのプロジェクトなんだ」

この元Saduは元々ビジネスの才能があるんだと思う。
そもそものきっかけはゴアのアシュラムで修行していた時、ビーチでヨガに関連する本を売り出したことだったらしい。
アシュラムが修行者用に置いている本を売ると、何割かをもらえるシステムがあり、彼はそれによって思いがけずお金を成したそうだ。
「本をおくスタンドを作ってきれいにディスプレイしたんだ。一日中ビーチでのんびりしているだけで観光客が寄ってきて本をどんどん買ってくれたよ」

改めてKushiを見ると彼のビジネス哲学が発揮されているのが分かる。
Kushiに並んでいる服はどれをとってもかわいいし、素敵。他の店では売っていないような物ばかり。
その代わり値段は他よりも高い。でも絶対にまけてくれない。
私が最初に買い物をした時、インドだから多少まけてくれると思ったけれど、Krishnaが頑固にまけないと言い張るので舌を巻いた。
でも商品が良いから結局客は定価で買ってしまうのだ。だってそんなにかわいい服はKushiでしか買えないのだから。
そしてKushiは女性だったら誰もが入った瞬間からトキメいてしまうようなディスプレイになっている。
写真はこちら→
服の色毎に並べている色彩感覚も素晴らしいし、壁一面に棚を設けてとてもセンスよくバッグや小物が並んでいる。
お洒落好きな女性にとってはオアシスのような空間だからつい寄ってしまうのだ。
そしてもう一つ大切なのは接客の仕方。
所詮人を相手にしているのだから、人が気持ちよく時間を過ごせるような対応をすることが大切だ。
Krishnaは最初から人との間に壁を作らない。そしてお茶を振る舞ったりして、お金を落とす「客」としてではなく、むしろ「友達」として接してくる。
「好きなだけ試着していいよ」と言ってくれるし、「それは最高に君に合うね」とやたらに褒める。
良い店というのは提供しているサービスが良いことは大前提だけれど、そこでスタッフも一緒に過ごして心地良ければ、さらに「行きたい店」になる。

いやぁ~。別に店を持っている訳ではないけれど、Krishnaの経営哲学は非常に勉強になった!

そろそろ夕飯の時間ということで、Krishnaが料理するのを見学することにした。
そう言えば、インドに来てからはずっと外食な上、人が料理しているところも見ていなかった。
本場でインド料理の調理の仕方を見る貴重な機会となった。

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ココナッツを入れたカレーを作ってくれたんだけれど、缶詰を使うのではなく、ココナッツを割るところから見られた。
同じゲストハウスに滞在する女の子たち二人もキッチンにやってきて、Krishnaを手伝い始めた。
どうやらいつもKrishnaが料理長で、皆を振る舞っているらしい。
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案の定、半端ない量のギィーを使っていた。
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そして夕飯の時間。
Krishnaの料理はそれはそれは美味しくて感動した。
レストランで食べるインドカレーより断然美味しかった。
インド滞在の最後になって本物のインド料理を食べられた気分だった。
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食事が終わった頃、いきなりサソリが現れて皆ビックリ!
「刺されていたら大変なことになっていた」とKrishna。
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夕飯後はKrishnaのジャンベと歌に合わせて踊った。
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役割を交代して…
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と、テラスで楽しんでいたら、雨が降ってきた。
そして一気に土砂降り。
そこで部屋の中に避難してジャムセッションが続いた。
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ジャムセッションの後はKrishnaがチべタンボウルの演奏をしてくれた。
部屋の照明を落として、皆横になって目を閉じ、チべタンボウルの響きで瞑想。

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コンサートが終わった時、すっかり体がリラックスしていた。
もう22時を軽く過ぎていたからぼちぼち家に戻らないと…なんて思ったが外ではまだ雨がザアザア振り。
うーん、困った。
そこで皆で色々な話をし始めた。
気づけばもう1時を回っていた。もう好い加減帰らないと!でもまだ雨は勢いよく降っている。ああ、もう雨期突入だな。
「君たち帰れなかったら僕のベッドで寝ていいよ。僕は床で良いから」とKrishna。
いや、さすがにそれは悪いし、それにいくらKrishnaのイメージが変わったとしても基本女の子大好きなおじさんであることは変わらないからさすがにヤバいのでは…
Satomiちゃんが雨の様子を見るために外に行った。
「Elliちゃん、雨止んでるよ~」
「え!嘘!?じゃあ、ずっと聞こえてたこの水の音は何?」
それはどうやら近く流れている滝の音だったということにようやく気づいた。
ってことは私たちはザアザア振りだと思ってたけど、雨はとっくに降り止んでいたのかも!?
ガーン…
私たちはKrishnaにお礼を言って帰ることにした。
本来だったら女の子二人で帰るのは危険な時間。
でもここの残るのもある意味危険。
そこで、二人でドキドキしながら近道(急な上り坂)を通って帰った。
まさかまさかの大冒険。

最後のあのオチは一体何だったんだろう?
元Saduなだけに、Krishnaの魔法にかかっていたのかも…と思わずにはいられなかった。
でもとにかく無事生還できて良かった。
そしてKrishnaの家での強烈な体験は貴重なインドの旅の思い出となった。

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