02 Junインドへの旅 その13:毎日が小さな首脳会議

6月2日、火曜日。

ピンクハウスについているカフェに行くと、必ず新しい出会いがある。
お腹の調子が再び悪くなったため、この日の夜、地味にスープでも飲んで寝ようと思っていた。
そんな日に限って、カフェに行くとやたらと賑わっている。

近くのゲストハウスに泊まっている仲間同士で集まって、なんとカフェの厨房を使って自分たちで料理をして食べることになっているらしい。
カフェの厨房を客が乗っ取るのもインドならではの現象で面白い。スープを頼みに厨房に行ったら、本来のコックさんがかなり迷惑している様子だった…^^;

このテーブルにはアイルランド人、イギリス人、インド人の集まり。
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私は体調も良くないので、一人で静かに食べようと思って敢えて集団から離れて座ったけど、近くで寝転がっていたゴア出身のインド人に話しかけられた。
空気を読むことをインド人に期待した私がバカだった。
彼は空手の黒帯をもっているらしく、日本にも行ったことがあると言う。
とても尊大で偉そうな態度をとる人で、面倒くさいな…と思いつつ話に付き合った。

左からインドのPushkar出身のAli、アメリカ人のYarrow、インドネシア人のJuki ↓

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夕飯ができたようで、皆テーブルに座り始めた。会って間もない私のことを皆で「Elliも一緒に食べようよ!」と誘ってくれる。
「いや、私はお腹の具合が悪いから…。あ、じゃあそっちでスープ飲むわ」ということになった。

「みんな、どういう仲間なの?」
「前からの友人もいれば、昨日知り合った人もいるよ。」

なるほど、同じ旅する者同士ですぐに友達になってしまうんだな…。
色々な国からの色々な背景をもつ若者たち。インドの文化や、旅の体験、自国の話、人生観など、色々な話題になる。

Aliは「こんなにたくさん日本人と話せたことはないからすごく嬉しい。ゴアで何人かとても面白い日本人に出会っているんだけどさ、あまり英語が話せないから身振り手振りでなんとか交流したよ。
一人さ、すっごくいい奴がいて、“明日、ディナーパーティをするから来いよ”って誘ったら、色々な食べ物持って現れてさ。でもそいつ、パーティでちょっと飲んだら酔いつぶれて床の上で寝ちゃって。話しかけても全然起きないから、仕方ないなぁ~ってオレのゲストハウスに運んで行ってさぁ。それ以来、すごくオレに懐いちゃってずっとつきまとわれたよ。でもとにかく良いヤツだったよ。」
「日本人はとにかくすごく面白いキャラのヤツが多い!2週間ほど前だったかな、この辺に“サムライ・スズキ”って名乗るヤツがいてさ、そいつ、道端でいきなりギター引いて歌い出すんだけど、それがすごい傑作なの!みんな大爆笑!」

ダラムサラに来てから出会う日本人はほとんどが女性だけど、この「サムライ・スズキ」とはぜひ会ってみたいと思った。なんとなく思ったのは、女性の方が長期的な旅を積極的にするケースが多いということ。日本社会では一度レールから外れるとなかなか戻れない。男性がインドなどへ長期の旅をするということはもう普通のサラリーマンの道は断念することになるので、かなり勇気がいる。逆に言うと、長期的な旅に出ている男性は「普通」の生き方を完全に捨てているため、中にはかなり濃い、あるいはぶっ飛んでるキャラがいても不思議ではない。

突然、隣で食べていたイギリス人の女の子が「ちょっと、何やってんのよ!」と怒った口調で叫んだ。
彼女の後ろには空手の黒帯のインド人の青年が驚いた様子で立っている。
一同、何事かと唖然とする中、「何が起きたの?」と彼女に聞いてみると、
「彼が私のスカーフで手を拭いたのよ!」と激怒している。
「だから、なんだよ!そんなこと大したことないだろうが !!」と黒帯青年は逆ギレしてさらに絡もうとする。
それを受けて、女性は、「Piss off!(あっち行ってよ!)」と怒ってどなる。
瞬時に私はでShenodeに教えてもらったヒンズー語のフレーズを思い出して、“Tum hari ma xxxxx!” と黒帯くんに言い放った。
効果てきめんで、彼はビクッとし、目を見開いて口をパクパクし始めた。
今でもあの時の彼の表情は忘れられない…プププ…^^
この日本人の女にまさかこんなことを言われるなんて信じられない!という表情。

その言葉を知るインド人たちは笑い出し、黒帯くんもしばし唖然とした後に笑い始めた。
おかげでその場は少し和んだ。
その後、女性のスカーフで手を拭くという行為について話し合いが始まった。
インド人のAliに言わせると、インド人男性は女兄弟や彼女のスカーフで手を拭くことをどうやらするらしく、非常識ではないらしい。
そして後で知ったのは黒帯くんは彼女を気に入ってるらしい…
「ふん!そんな文化が世界に通用する訳ないでしょ!最低!やめるべきよ!」とイギリス人女性。
ああ、これは完全に文化のぶつかり合いだ。

基本的に異国人に対してオープンな感覚をもつ旅人同士でもそんなことも当然ある。
でも目の前で繰り広げられるこの言い合いはなかなか興味深かった。
世界中の人々を受け入れるインド。
特に欧米系の外国人は自分の価値観を「世界スタンダード」だと思ってそれを押し通す。
一方、自国にいながら世界の人々と交流するインド人は、この「世界スタンダード」を知らない内に害していて、罵倒される。
ただ、日本人みたいに引き下がってはいない。
インドではこれが常識だ!と戦う。

簡単に答えが出ることではないけれど、皆それぞれに学ぶ必要があるなぁ、と思う。
私が思うに、異国に行くことは自分の固定観念や常識を挑戦されて、全く違う価値観を知るから面白いのだ。
だから、こういう場面では善悪の判断を下す前に、まずなぜ相手がそういう行動に出たかを知ろうとすると思う。
それが無理なら、そもそも異国に行くのはやめておいた方が良いだろう。
ましてや自分の国とは宗教も言語も文化もライフスタイルも全く違うような国は特に。

そんなことを皆に話してみた。
そしたら、「Elliが日本の首相になれば良いよ!」とマジ顔でAliに言われた(笑)

異国で色々な国の人と出会い、話すことを通して、私はその場の「日本代表」なんだと意識する。
そして皆もそれぞれの国の代表。
一人の人がその国の印象を変えてしまうほどのインパクトを与える。
かなりスケールは小さいけれど、首脳会議をしているようなものなのかもしれない。

それにしても出会う外国人の「日本人は英語が話せない」という印象にはがっかりしてしまう…
「英語がうまいから日本人だと思わなかった」と言われると、ガクッとくる。
英語話せる日本人もいますから!
この固定観念、どうにかしたいものだ。

地味に過ごしたかったにも関わらず、かなり刺激的な夜となった。
みんなに「おやすみ」を告げ、自分のゲストハウスへと戻った。
ああ、早くお腹治るといいな…

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